ひそひそ話?

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090925
いつもは仕事用のパソコンモニターの上に飾ってある、張子のお人形‥とでもいうのでしょうか?
ちょっとユーモラスな表情をした3人組です。
子供がまだ小学生だったころお土産に買ったものです。
女子美同窓会長野県支部総会に出席した帰り、たしか下諏訪の「御宿まるや」脇のお店で買いました。
まるやの女将さんが当時の支部会長さんでその方が集めたものが置いてありました。
すぐ目が合い、娘がいかにも好きそうと思ったので迷わず買いました。
秋の夜長、居間のテーブルにこの子達を置いて
水性ペン(PIGMAの0.2mm)で描いて水彩絵の具で色を付けました。
大きさは、うさぎの耳を入れても10.5cm。
なんだか今にも井戸端会議を始めそうなので、耳を澄ましながら描きました。
はてさて何を話しているんでしょうか?
<COTMANスケッチブック F4>

シロ

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090920
もう3ヶ月以上も前になります。
6月7日午後、シロは16歳でお空に旅立ってしまいました。
5月の連休前から耳が聴こえづらくなり眼もどのくらい見えているのか、
一気に老犬になってしまいました。
でも歳を取るのは自然の摂理、ゆっくりのんびりやればいいじゃないのと
散歩も時間をかけゆっくり歩き、ドックフードもシニア犬用のなるべく良さそうなものに替えました。
亡くなる10日ほど前に歯茎から出血してかかりつけの動物病院で診て貰ったのですが、
その時はその対応に抗生物質を出してもらっただけで、
獣医さんには「心臓に雑音があるので弱っているのは確かだけど‥、まだ大丈夫でしょう。
しっかり運動もさせて下さい。」と言われました。
しかし日に日に衰えて肩で息をしているのを見るにつけ、大学生になり家を離れている娘には
「この夏は越せないかもしれないから覚悟だけはしておきなさい。」と電話で伝えました。
しかし当の自分はその場信じられずうろたえ眼が腫れるほど泣きました。

シロは臆病だけれどたくましい野性を持った犬でした。
小さい体を張ってこの玄関ポーチで我が家の見張り番をしてました。
もちろん頼んだわけではありません。犬小屋はちゃんとあるのにいつもこのポーチに居ました。
そして蝶々を見たり、大抵はまるで薄くきったハムを二つ折りにしたような格好で、
どでーんと何の警戒感もなくグーグー寝てました。
小さい時厳しい環境で育ったからでしょう警戒心の非常に強い犬でしたから、
その無防備なサマを見ると娘も私もささやかな幸せを感じたものです。
家の警備と家人の見送り出迎えが自分の仕事と思っているようで、
私の車の音ははっきり聞き分けていましたし、
出迎えでは喜びが高じて体当たりされ何度“膝カックン”をやられたことでしょう。
自由に動けるようにリードははずしていましたが、散歩も家の敷地から一歩も出ようとしなくなり、
薬を隠した一口のドックフードしか食べず、
10日分の薬を飲み終えた日は最後を悟ったかのように水すら口にしませんでした。
それでも、その亡くなる前日私が車で出て帰りが思いがけずあたりが暗くなる時間になってしまい
「シロどうしてるかしら?」と心配しながら帰って来ると、
家の敷地の際で往来に顔をのばし私が帰ってくる方向を心配そうに見ている姿がありました。
いつからそこにいたのでしょうか。
ほとんど食べてないのにポーチから降りてトコトコ往来の際まで出てきて
ヨロヨロの足でふんばって立って待っていたのかと思うと
「アンタが私を心配してドォスンノォ~」でした。
16歳といえば犬では高齢になるのでしょうし、
娘の2度の受験の折も何の心配もかけず良い子で留守番をしてくれ、
娘は念願の獣医学課に合格できました。
出た人が家に帰るのを見届けるのが自分の仕事と思っていたシロは
5月の休みに大学生になった娘に会い、ほっとして役を降りたのだと思います。
私は小さな足音が聞こえなくなりひどい喪失感でしたが、
ある日ふいにぽっかり空いた胸のある場所にすとんとシロが入った気がしました。
”あぁシーちゃん、そこに来たんだね”って、はっきり思ったのです。
少し前の元気だった頃の写真を見ながらゆっくり描きました。
<アルシュ A3 細目>

「辛くないから‥」

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090908
さすがに9月に入ると風も涼しくなり、しのぎやすい毎日ですね。
この唐辛子は先月8月の下旬に友人の庭さきに育ったものを貰ったのですが、
友人は「これなんだろう?しし唐っていうの?全然辛くないんだよ。食べてみて」と
見るからに辛そうな真っ赤なのを採ろうとするので、
辛いものが苦手な私は「だめだめ、辛いのは無理!」と止めると、
彼女は独特の絶望的な言い方で「‥だから、辛くないの」と。
ちなみに彼女は大の辛党。大なんてもんじゃないくらいの辛いもの依存症です。
ともかく色がとてもきれいなのでありがたくいただいてきました。
つまりまだ辛いかどうかわかりません。でも辛いと思います。そんな匂いがします。
実はその日、彼女の家の近くに私の卒業した中学校があるのですが、
今の校舎を壊して新しくすることは図面等も出回っているので知っていましたが、
そこで「今おもしろいことやってるから来ない?」と突然呼び出されたのです。
「あ~この間ニュースでやってたスケッチ会の発表会ね~?」
「そうじゃないの!、どう言ったらいいかわからないけどおもしろいから!。」で、
卒業後一度も入る機会がなかった母校に出向いたのですが、
これがすごく良かったです。
『2009さくらびアートプロジェクト』。
学校が主体ではなくて、この長野市立櫻ヶ岡中学校の美術の先生が
美術を選択教科で取っている生徒と自分の母校である武蔵野美術大学を中心に大学生に呼びかけて、
“廃校舎で何かを表現する”ということをやったわけですね。
特に私は新設校としての初めての1年生だったわけですから感慨もひとしおで、
在校生の気持ちでちょっと文化祭のような1階の部屋部屋をのぞきました。
上の階に行くにつれ、やはり美大生のパフォーマンスは洗練されていて、
校舎を渡る風や夏の終わりの日差しも手伝って、
「中庭はこんなに狭かったのかしら」とか「渡り廊下は〇〇××‥」とか遠い時間の思い出がスパイスになって、
とても素晴らしい空間に感じました。
(傑作の最たるものはもちろんこれをやろうと思ったこの中平先生の発想でしょうけど‥
独壇場そのもののポスターが良かった!)。
写真は当日配られた団扇型パンフレットです。
sakurabi-a
暑い日でした、残暑って中学校に似合いますね(変ですか?)。
あー、それにしても悔やまれる、N君やT子は知ってたんだろうか‥。
皆行けば良かったのになぁ。
で、なんだか楽しくなっちゃって、その日の夜、良い気分で思ったように好きな色でスケッチブックに描きました。肝心要のトウガラシ?部分の色を着けずじまいでしばらく経ち、
緑色のものまですっかりまっ赤っかになってしまいましたが、
まぁ元気が出そうなカンジに仕上がって良かったです。
<COTMANスケッチブック F4>

Y字の路地

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090720
長野駅東口をインター線須坂方向に行った七瀬町の路地です。
駅西側の市街地に出たい時など自転車でよく通るお気に入りの路地ですが、
最近駅東口開発が加速度増してきて
あれよあれよと言う間にどんどん風景が変わっています。
路地の特有のくぐもった匂いと湿気を帯びたひんやりした空気が好きでした。
善光寺の裏手にあった高校に通う道がそうでしたし、
東京の大学生だった頃はお茶のけいこに中野区の先生のお宅に週一度通いましたが、
都会であっても中野通りを一歩入ると木の塀に挟まれた狭い路地でした。
その後長野市に帰って入った会社も長野で一番大きなデパートのすぐ近くでしたが、
路地の長屋を改装して事務所にしていました。
当時の社長は長屋隣のおばあさんに頼まれて
棚板を直したりしてあげていたのを思い出します。

車道を通っていてもピンとこなくてもこうして路地に入るといやおうなしに
五感に現実がつきささるようです。
このY字の先も好みの路地がしばらく続いていたのですが、
今は更地になり整備され建物が建ちつつあります。
「くぐもった匂いのひんやりした空気」の路地に乾いたほこりっぽい空気が入ってしまいました。
興ざめです。
ですが、描いてみたいとずっと思っていたのです。
昨年世田谷美術館での横尾忠則さんの展覧会『冒険王』で、
横尾さんの『Y字路シリーズ』の迫力に感動したのですが、
ここを通るたび「あ、ここもY字路だわ!」なんてひそかに思っていたのです。
この風景自体もいつまで残るかわかりませんが、
ちいさいスケッチながら描けて良かったと自分の中でほっとしています。
<MUSE KENAFPAPER SM(22.8×15.8cm)>

母の日の花篭

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090518
5月10日の母の日に届いた娘からのプレゼント。
ゴールデンウィークに帰って来た時、
「母の日にわざわざお花なんて送らなくていいからね!。」と言い含めたつもりでしたが、
こちらにいるあいだに近所のお花屋さんに頼んでいったようです。
娘の受験中はやはり自分のことより娘のこと、で、入学手続きの、住まい探しのとバタバタ過ぎて、
気がつけばちいさな翼は飛び立ってみごとに空の巣症候群‥ですか?。
いやいやそれ程暇ではないつもりですけど、
娘は何か母親が夢中になれるものに没頭して欲しいとでも思っているのでしょう、
ホームページの絵日記は更新したのか?とそればかりメールや電話で言ってました。
ともかく、さわやかなラベンダーと娘の好きなガーベラ、
可憐なピンクのカランコエ、そしてアイビー。
ひとつひとつはお安いお花達ですが、宿根のたくましさが私は好きです。
娘に電話でお礼を言った午後、すぐにスケッチしました。
時間を作って少しづつ描きましたが、楽しい時間でした。よ
うやく仕上がってやっと狭い籠からそれぞれ出してあげられます。
<アルシュ A3 細目>

宮沢賢治の像

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090517
4月上旬に娘の大学入学式に出席するために岩手県まで行きました。
大学の構内にこの像があることはパンフレット等で知ってはいましたが
入学式の後、農学部の懇親会で敷地内にある資料館を
特別に見せていただけるということで案内されたその脇にひっそりとその像があって、
息を呑みました。
その時はあわただしかったので写真だけ撮り、後日像だけは写真をみながら描き、
まわりはなんとなくその時の印象で色をつけてみました。
ちなみに宮沢寛治さんの顔はこんなボーっとした感じではなく、
素朴で優しくたくましい良いお顔をされてます、念のため‥。
ここでこの像に見守られて6年間過すのだなあと改めて思いながら描いたわけです。
<MUSE KENAFPAPER SM(22.8×15.8cm)

一輪

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昨年末、2年前に植えたさざんか(たぶん‥)の細い枝にようやく蕾が付き、
ある暖かい日に一輪だけひらきました。
「あぁ、こぉんな色のお花が付くんだ~~」と感動して、
ため息まじりに息をひそめてスケッチしました。
090426

白のようなピンクのようなグラデーションが、柔らかそうで
本当に小さな天使が降り立ったかのようでした。
それが、その後急に寒くなったりで、数個付いていたと思った蕾は
茶色くなって落ちてしまいました。

年が明ければ娘の2度目のセンター試験があるわけで、
なんともその後筆を持つ気になれませんでした。
3月9日に娘が志望校合格を果たし、ようやく描き上げる気分になれました。
しばらく埃をかぶせちゃって、本当にごめんね。

<アルシュ A4 荒目>

似顔絵を頼まれる

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090409

最近、鷹司誓玉善光寺お上人の自伝『流れのままに』を
聞き書きしたライターの友人から夜電話があり、
今度某新聞社にコラムを書くのだけれど作者紹介の写真も堅苦しいので、
超簡単でいいので、似てなくていいので、何でもいいので、
似顔絵的なものを描いてくれないかと頼まれました。
彼女はその翌日タイに、次書く本の取材で出かけてしまうということで
既に気分は彼の地に飛んでいて上機嫌だし、
私もそういった類は仕事としてしたことがないので
当然お金のからむ依頼ではないと察して、
友達として機嫌よく協力することにしました。
写真を見ながら筆ペンでササっと描けるだろう、のつもりが、
困った!最近の写真がない‥、
あったのは一緒に山登りをした時の帽子を目深にかぶっているものや
下向いてるもので全然参考にならず、かなり焦りました。
子供の大学入学式のために私も盛岡に行かなくてはならないという
その前日のことでしたので。

でも16歳からの長いつきあい、
“あの子の特徴は‥、頬骨がはっきりしてるんだよねぇ~、で、
いつも小首をかしげて人の深層心理をみやぶる目つきで見るんだよ~、
で、唇は一番の特徴、真一文字で口角ははっきりピリオド、
「なぜそう思うの?」「おかしくない?」「‥わからない。」
これで何度返答に窮しパニックになったことか‥、
そう、この薄い唇から淡々と言葉が出るんだよねぇ~‥”
ぶつぶつつぶやきながら描いていると何となく彼女になった気がしました。
ですが私としては愛情たっぷりのつもりが、一般的には好感がもたれなかったようで、
後日まじまじ眺めてやはり線で描くと年齢が強調されてきれいに見えないことに気づき、
少し色味をつけて線を消してみました。
雰囲気が近づいてきたと思うのですケド‥、なかなか難しいものですね。

丑年

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2009
2009年になって何ヶ月も経つわけですが
、しばらく手がつけられなかった「徒然絵日記」を再開するにあたり、
やっぱり年賀状は記録に残しておきたいと思い載せてみました。

昨年末は28日まで仕事で年賀状に手が回らず、29日の午後にやっとアイデアをまとめ、
30日にプリントアウト数十枚。
ここに筆ペンで新年の抱負とか近況報告とかやらを一枚一枚書くのに一日かかり、
結局31日夕方中央郵便局に投函し、年越しとなりました。
その間に一応の大掃除、年越しや新年を迎える準備
(お雑煮の材料調達やお重・御神酒の用意やらお正月の花を生けたり‥)をしながらで、
来年こそは11月から年賀状に取り掛かろう‥などと思ったりもしましたが、
その年の状況次第ですから、まぁいろいろで仕方ないとあきらめてもいます‥。

ともかく、そんな状態でしたが今回の牛は自分ではとても気に入っています。
子供の図鑑に載っていたインド原産のコブウシと
娘がクリスマスにプレゼントしてくれたひざ掛けが“Made in India”で
「よ~し」と閃き、ひざ掛けをスキャナーで読み込んでコブウシの形に切り抜いてみました。
2009-s2

そして色などをパソコン上で調整して自分のイメージに近づけました。
好みの良い色が出ました。
年賀状自体は発売後まもなく買っておいた今年初の「萌葱(もえぎ)色」で、
その地色に合う図柄が出来たと思います。

秋日

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081116
先週の日曜日、大学の先輩である友人に誘われてスケッチに行きました。
長野県庁の前を西にずんずん歩いていったところにある里島発電所です
。昔からスケッチポイントのようですが、
ここを選んだのは友人宅から自転車で数分のところであることと、
ちょうど紅葉の美しい時だったので行ってみようかと。
寒いので2時間くらいで帰ろうねと決めていたので、軽く色をつけて帰って来ました。

自称“雑草のようにたくましく、明るくきれいな”友人は、以前から聞いてはいましたが、
この地を離れることが本当に決まったようで、
お別れにと愛用のレースの日傘だとかシクラメンの絵に言葉を添えた短冊だとか
用意してくれていて、そしていつもどおり、少女のように楽しそうに絵を描いていました。
家に帰って仕上げようとしましたが、寂しい気持ちばかりがまるで埃のように、
じっと動かない私の上に降り積もるようで、なんだか暗い出来上がりになってしまいました。
でも何とか仕上げました。
女子美同窓会長野県支部を立ち上げるために初めてお会いしてから、
あっという間の10年でしたね。
そんなことを思って描きました。

<MUSE KENAFPAPER SM(22.8×15.8cm)>

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