「辛くないから‥」

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090908
さすがに9月に入ると風も涼しくなり、しのぎやすい毎日ですね。
この唐辛子は先月8月の下旬に友人の庭さきに育ったものを貰ったのですが、
友人は「これなんだろう?しし唐っていうの?全然辛くないんだよ。食べてみて」と
見るからに辛そうな真っ赤なのを採ろうとするので、
辛いものが苦手な私は「だめだめ、辛いのは無理!」と止めると、
彼女は独特の絶望的な言い方で「‥だから、辛くないの」と。
ちなみに彼女は大の辛党。大なんてもんじゃないくらいの辛いもの依存症です。
ともかく色がとてもきれいなのでありがたくいただいてきました。
つまりまだ辛いかどうかわかりません。でも辛いと思います。そんな匂いがします。
実はその日、彼女の家の近くに私の卒業した中学校があるのですが、
今の校舎を壊して新しくすることは図面等も出回っているので知っていましたが、
そこで「今おもしろいことやってるから来ない?」と突然呼び出されたのです。
「あ~この間ニュースでやってたスケッチ会の発表会ね~?」
「そうじゃないの!、どう言ったらいいかわからないけどおもしろいから!。」で、
卒業後一度も入る機会がなかった母校に出向いたのですが、
これがすごく良かったです。
『2009さくらびアートプロジェクト』。
学校が主体ではなくて、この長野市立櫻ヶ岡中学校の美術の先生が
美術を選択教科で取っている生徒と自分の母校である武蔵野美術大学を中心に大学生に呼びかけて、
“廃校舎で何かを表現する”ということをやったわけですね。
特に私は新設校としての初めての1年生だったわけですから感慨もひとしおで、
在校生の気持ちでちょっと文化祭のような1階の部屋部屋をのぞきました。
上の階に行くにつれ、やはり美大生のパフォーマンスは洗練されていて、
校舎を渡る風や夏の終わりの日差しも手伝って、
「中庭はこんなに狭かったのかしら」とか「渡り廊下は〇〇××‥」とか遠い時間の思い出がスパイスになって、
とても素晴らしい空間に感じました。
(傑作の最たるものはもちろんこれをやろうと思ったこの中平先生の発想でしょうけど‥
独壇場そのもののポスターが良かった!)。
写真は当日配られた団扇型パンフレットです。
sakurabi-a
暑い日でした、残暑って中学校に似合いますね(変ですか?)。
あー、それにしても悔やまれる、N君やT子は知ってたんだろうか‥。
皆行けば良かったのになぁ。
で、なんだか楽しくなっちゃって、その日の夜、良い気分で思ったように好きな色でスケッチブックに描きました。肝心要のトウガラシ?部分の色を着けずじまいでしばらく経ち、
緑色のものまですっかりまっ赤っかになってしまいましたが、
まぁ元気が出そうなカンジに仕上がって良かったです。
<COTMANスケッチブック F4>

Y字の路地

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090720
長野駅東口をインター線須坂方向に行った七瀬町の路地です。
駅西側の市街地に出たい時など自転車でよく通るお気に入りの路地ですが、
最近駅東口開発が加速度増してきて
あれよあれよと言う間にどんどん風景が変わっています。
路地の特有のくぐもった匂いと湿気を帯びたひんやりした空気が好きでした。
善光寺の裏手にあった高校に通う道がそうでしたし、
東京の大学生だった頃はお茶のけいこに中野区の先生のお宅に週一度通いましたが、
都会であっても中野通りを一歩入ると木の塀に挟まれた狭い路地でした。
その後長野市に帰って入った会社も長野で一番大きなデパートのすぐ近くでしたが、
路地の長屋を改装して事務所にしていました。
当時の社長は長屋隣のおばあさんに頼まれて
棚板を直したりしてあげていたのを思い出します。

車道を通っていてもピンとこなくてもこうして路地に入るといやおうなしに
五感に現実がつきささるようです。
このY字の先も好みの路地がしばらく続いていたのですが、
今は更地になり整備され建物が建ちつつあります。
「くぐもった匂いのひんやりした空気」の路地に乾いたほこりっぽい空気が入ってしまいました。
興ざめです。
ですが、描いてみたいとずっと思っていたのです。
昨年世田谷美術館での横尾忠則さんの展覧会『冒険王』で、
横尾さんの『Y字路シリーズ』の迫力に感動したのですが、
ここを通るたび「あ、ここもY字路だわ!」なんてひそかに思っていたのです。
この風景自体もいつまで残るかわかりませんが、
ちいさいスケッチながら描けて良かったと自分の中でほっとしています。
<MUSE KENAFPAPER SM(22.8×15.8cm)>

母の日の花篭

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090518
5月10日の母の日に届いた娘からのプレゼント。
ゴールデンウィークに帰って来た時、
「母の日にわざわざお花なんて送らなくていいからね!。」と言い含めたつもりでしたが、
こちらにいるあいだに近所のお花屋さんに頼んでいったようです。
娘の受験中はやはり自分のことより娘のこと、で、入学手続きの、住まい探しのとバタバタ過ぎて、
気がつけばちいさな翼は飛び立ってみごとに空の巣症候群‥ですか?。
いやいやそれ程暇ではないつもりですけど、
娘は何か母親が夢中になれるものに没頭して欲しいとでも思っているのでしょう、
ホームページの絵日記は更新したのか?とそればかりメールや電話で言ってました。
ともかく、さわやかなラベンダーと娘の好きなガーベラ、
可憐なピンクのカランコエ、そしてアイビー。
ひとつひとつはお安いお花達ですが、宿根のたくましさが私は好きです。
娘に電話でお礼を言った午後、すぐにスケッチしました。
時間を作って少しづつ描きましたが、楽しい時間でした。よ
うやく仕上がってやっと狭い籠からそれぞれ出してあげられます。
<アルシュ A3 細目>

宮沢賢治の像

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090517
4月上旬に娘の大学入学式に出席するために岩手県まで行きました。
大学の構内にこの像があることはパンフレット等で知ってはいましたが
入学式の後、農学部の懇親会で敷地内にある資料館を
特別に見せていただけるということで案内されたその脇にひっそりとその像があって、
息を呑みました。
その時はあわただしかったので写真だけ撮り、後日像だけは写真をみながら描き、
まわりはなんとなくその時の印象で色をつけてみました。
ちなみに宮沢寛治さんの顔はこんなボーっとした感じではなく、
素朴で優しくたくましい良いお顔をされてます、念のため‥。
ここでこの像に見守られて6年間過すのだなあと改めて思いながら描いたわけです。
<MUSE KENAFPAPER SM(22.8×15.8cm)

一輪

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昨年末、2年前に植えたさざんか(たぶん‥)の細い枝にようやく蕾が付き、
ある暖かい日に一輪だけひらきました。
「あぁ、こぉんな色のお花が付くんだ~~」と感動して、
ため息まじりに息をひそめてスケッチしました。
090426

白のようなピンクのようなグラデーションが、柔らかそうで
本当に小さな天使が降り立ったかのようでした。
それが、その後急に寒くなったりで、数個付いていたと思った蕾は
茶色くなって落ちてしまいました。

年が明ければ娘の2度目のセンター試験があるわけで、
なんともその後筆を持つ気になれませんでした。
3月9日に娘が志望校合格を果たし、ようやく描き上げる気分になれました。
しばらく埃をかぶせちゃって、本当にごめんね。

<アルシュ A4 荒目>

似顔絵を頼まれる

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090409

最近、鷹司誓玉善光寺お上人の自伝『流れのままに』を
聞き書きしたライターの友人から夜電話があり、
今度某新聞社にコラムを書くのだけれど作者紹介の写真も堅苦しいので、
超簡単でいいので、似てなくていいので、何でもいいので、
似顔絵的なものを描いてくれないかと頼まれました。
彼女はその翌日タイに、次書く本の取材で出かけてしまうということで
既に気分は彼の地に飛んでいて上機嫌だし、
私もそういった類は仕事としてしたことがないので
当然お金のからむ依頼ではないと察して、
友達として機嫌よく協力することにしました。
写真を見ながら筆ペンでササっと描けるだろう、のつもりが、
困った!最近の写真がない‥、
あったのは一緒に山登りをした時の帽子を目深にかぶっているものや
下向いてるもので全然参考にならず、かなり焦りました。
子供の大学入学式のために私も盛岡に行かなくてはならないという
その前日のことでしたので。

でも16歳からの長いつきあい、
“あの子の特徴は‥、頬骨がはっきりしてるんだよねぇ~、で、
いつも小首をかしげて人の深層心理をみやぶる目つきで見るんだよ~、
で、唇は一番の特徴、真一文字で口角ははっきりピリオド、
「なぜそう思うの?」「おかしくない?」「‥わからない。」
これで何度返答に窮しパニックになったことか‥、
そう、この薄い唇から淡々と言葉が出るんだよねぇ~‥”
ぶつぶつつぶやきながら描いていると何となく彼女になった気がしました。
ですが私としては愛情たっぷりのつもりが、一般的には好感がもたれなかったようで、
後日まじまじ眺めてやはり線で描くと年齢が強調されてきれいに見えないことに気づき、
少し色味をつけて線を消してみました。
雰囲気が近づいてきたと思うのですケド‥、なかなか難しいものですね。

丑年

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2009
2009年になって何ヶ月も経つわけですが
、しばらく手がつけられなかった「徒然絵日記」を再開するにあたり、
やっぱり年賀状は記録に残しておきたいと思い載せてみました。

昨年末は28日まで仕事で年賀状に手が回らず、29日の午後にやっとアイデアをまとめ、
30日にプリントアウト数十枚。
ここに筆ペンで新年の抱負とか近況報告とかやらを一枚一枚書くのに一日かかり、
結局31日夕方中央郵便局に投函し、年越しとなりました。
その間に一応の大掃除、年越しや新年を迎える準備
(お雑煮の材料調達やお重・御神酒の用意やらお正月の花を生けたり‥)をしながらで、
来年こそは11月から年賀状に取り掛かろう‥などと思ったりもしましたが、
その年の状況次第ですから、まぁいろいろで仕方ないとあきらめてもいます‥。

ともかく、そんな状態でしたが今回の牛は自分ではとても気に入っています。
子供の図鑑に載っていたインド原産のコブウシと
娘がクリスマスにプレゼントしてくれたひざ掛けが“Made in India”で
「よ~し」と閃き、ひざ掛けをスキャナーで読み込んでコブウシの形に切り抜いてみました。
2009-s2

そして色などをパソコン上で調整して自分のイメージに近づけました。
好みの良い色が出ました。
年賀状自体は発売後まもなく買っておいた今年初の「萌葱(もえぎ)色」で、
その地色に合う図柄が出来たと思います。

秋日

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081116
先週の日曜日、大学の先輩である友人に誘われてスケッチに行きました。
長野県庁の前を西にずんずん歩いていったところにある里島発電所です
。昔からスケッチポイントのようですが、
ここを選んだのは友人宅から自転車で数分のところであることと、
ちょうど紅葉の美しい時だったので行ってみようかと。
寒いので2時間くらいで帰ろうねと決めていたので、軽く色をつけて帰って来ました。

自称“雑草のようにたくましく、明るくきれいな”友人は、以前から聞いてはいましたが、
この地を離れることが本当に決まったようで、
お別れにと愛用のレースの日傘だとかシクラメンの絵に言葉を添えた短冊だとか
用意してくれていて、そしていつもどおり、少女のように楽しそうに絵を描いていました。
家に帰って仕上げようとしましたが、寂しい気持ちばかりがまるで埃のように、
じっと動かない私の上に降り積もるようで、なんだか暗い出来上がりになってしまいました。
でも何とか仕上げました。
女子美同窓会長野県支部を立ち上げるために初めてお会いしてから、
あっという間の10年でしたね。
そんなことを思って描きました。

<MUSE KENAFPAPER SM(22.8×15.8cm)>

タンザニアの寄宿舎

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081218
長野市飯綱町の小林フィデアさんは、故郷であるタンザニアの、
エイズ孤児を支援する活動をしています。
彼女を知る知人が、孤児たちが暮らす寄宿舎の建設を支援する活動を、
北信ロータリークラブでできないかと考え、企画書を作りました。
この絵はその知人から、何かイメージになるものを描いてくれないかと頼まれ創ったものです。

レンガをまず手作りで作るところから寄宿舎の建設は始まるようです。
そんなことも知人から見せられた現状の写真で知りました。
そしてどの写真も小さい子から少し大きい少年少女まで年は様々ですが、
こどもばかりが大勢写っています。
エイズで親を亡くした子が本当にたくさん写っていました。
そして肩を寄せ合い懸命に生きていることが写真の表情からひしひしと感じ取れました。
この寄宿舎というか孤児院というかは、
1棟に2段ベッドが2個置ける部屋が4つから5つ、といったところでしょうか、
16人から18人くらいは暮らせるでしょう。
この絵は、まず寄宿舎を図面通りCGで作り、現地の写真と合成し、
子供達がそこで仲良く学び遊んでいるイメージをイラスト風に仕上げました。
祈りを込めて。

「御代田町のメルシャン軽井沢美術館にて」

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0629

友人に誘われてこの美術館を訪れたのは6月上旬。
良いお天気の爽やかな日だった。
友人ともども是非訪れたかったのは、インテリアに興味のある方はご存知だと思うが、
19世紀のイギリスの詩人・工芸家、社会思想家である『ウィリアム・モリス』の
壁紙・ファブリック及びステンドグラスの作品展覧会が開催されていたからだ。
車を出すと言う私に友人は
「電車で行きましょう、その方が楽しいわよ!」と言う。
なぜか、、、それはここではワインやウィスキーの試飲が出来るのだ。
そういうことであればもちろん絶対電車で行きますよ~。
各駅停車で1時間ちょっと、だったかな?。
久しぶりに会う友人と車中でのんびり日常を離れてお喋りを楽しんだ。
何度か訪れたことがある友人が「スケッチも出来るから」と言うので、
ちいさなスケッチブックと簡単なスケッチ道具一式も持って行く。るんる~ん。

美術館だけでなくレストランやカフェ、
ウィスキー蒸留所やメルシャン製品を販売するメルシャンプラザなど、
広い敷地は美しい庭と建物、浅間山も眺めることができる眺望と、どこを見ても絵になりそうだ。
目移りしながらスケッチに選んだ場所は偶然にもパンフレットに大きく載っていて、
後でちょっとビックリした。
蔦が元気良く建物の外壁をおおっている。
よく見ると白樺やヤマボウシの木々も良く育っていて幹が太い。で、微妙に煤けている。
これはウィスキーの貯蔵庫が併設されている影響なのだそうだ。
メルシャンと聞くとワインと浮かぶ。ウィスキーって?と聞くと、
子供の頃耳馴染んでいたオーシャンウィスキーの蒸留所だったのを合併したのだそうだ。
知らなかった。小学生の頃、
大塚クンという男の子が「おーしゃん(オーシャン)」と呼ばれていたっけ。
今はもうオーシャンウィスキーの名前はないのだそうだ。
特にウィスキーに興味はないのだけど、そうだったのかぁ。

<F0スケッチブック>

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