トラックの塗装デザイン
- カテゴリ:
- 仕事
「仕事頼みたいんだけど、実は建築パースじゃないんだ‥。」ということで話を聞くと
その先生が社屋のリニューアルで関わっている会社の社長さんが
業務トラックの塗装色について悩んでいるので相談にのってあげてほしい、
そして問題を解決する提案(デザイン)をしてもらいたい、とのことでした。
建築物では外装の色を決めるとき何パターンかをパースで検討することはよくあることですし、
色に関してはたぶん自分は適任であるという自負もあり、
企業の広報室にいた20代のころ、広報用の大型トラックをデザインしたこともあります。
これは受けるしかないでしょうと早速その会社に伺いました。
社長さんは女性でちょうど私の姉くらいのお歳の方で、副社長の弟さんと
創業者である先代の跡を引き継がれたそうです。
長野市を拠点に県下の資源回収をしている会社です。
問題は社長さんが新車両を購入する際、担当の社員の方に
「いままでの車体の色が暗すぎるように思うから
今度の車両はもうすこし明るくできない?」と言ったことから始まり、
それがどんどん人を介して社長さんの意向とは全く違う産物となり、
新車のたび「そうじゃなくて、、」とか「金色のラインはやめて、、」とか言っているうちに
ますます頭痛の種になっていったということでした。
一番の関心は車体の色に関してでしたが、どうやってその「色」を見つけたらよいかと
会社の車庫には何度も足を運び、資料を作ってお持ちし、何度か社長さんとお話しているうちに、
社長さんとしては、元の色に戻すだけでも実はいいと思っている、
けれど自分の言うことがどうしても伝わらないことに不安がある、
どうしてああいう色になってしまったのか、塗装工場に行って一緒に話を聞いてほしい、
と思っておられる事がわかりました。
2月末、二人でトラックの塗装工場を訪ねました。
やはり“Face to Face” ってことですね、
実にうまくお互いの思いが伝わり聞きたいことが聞けました。
塗装工場の社長(とっても気のいい親父さん)が後日サンプルとして、
なんと空のペンキの一斗缶を塗ったものを持ってきてくれました。
その時の打ち合わせでよくよく理解して下さったとみえてぴったりの色で、
社長さんも気に入ったようでした。あとは私の判断です。
その色が実際おおきなトラックに塗られた時どうだろうか、
晴れの日・曇りの日どうだろうか、あと、この色を基調色にして
今現在、1台1台思い思いに入っている黄色のラインをどう入れるか。
またそれを含めて社名・マーク・許可番号等の必要記載項目を
どう標準化して入れるか等の検討をしなければなりません。
しばらくの間その一斗缶と行動を共にして、挙句の果てには紙にトラックの写真を印刷し、
塗装部分を切り抜いてその一斗缶に側面と正面をはりつけました。
これは我ながらなかなか良いアイデアだと思ったのですが、
本当にすごく説得力があり社長さんは大喜びでした。
その一斗缶の写真を撮り忘れたのが残念です。

写真は提出したデザイン画の一部です。
建築パースで使う3Dソフトを使ってデザインを検討しました。
黄色いラインや金色の縁取りライン、そして宝船のマーク、
それらには先代のこだわりが現れていることを副社長さんや社員の方からお聞きして、今はどんどん一人歩きをしてまるでタイガーマスクのようになってしまった黄色のラインをどう扱うか悩みましたが、
金色縁取りの黄色ラインをやめ、
黄色みの強い金色を1本だけ円弧を描くラインで入れることを提案しました。
結果、副社長さんが「デザインを変えるって言ってたけど、
まあほとんど変わってないからこれならいいかな。」と。
私は心の中でガッツポーズ
「やった!」。
違和感なく洗練されたデザインに変える事ができたと思います。