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久しぶりに胸がざわついてしまいました。
たまたま友人とのお喋りのなかで、彼女の家の近所に高名な建築家が建てた家があると聞き、
「この辺のガチャガチャした住宅街にっ?、うっそ~!!」と、
自分の勉強不足というか建築に関わる仕事をしていながらのこの無知っぷりを
恥ずかしいと思うより先に好奇心から見たい思いで、
寒い寒い日、近所を歩いていたついでに見に寄りました。

視野に入った時から気持ちが、ときめいてしまいました。
焼き杉と漆喰の外壁が織りなす縦縞模様や独特な外観フォルム、
遠目でも目立つことは確かですが、
目立ちながら不思議とその景観に溶け込むというか、なじんでいる全体の中の建築。
一瞬で「なんて素晴らしいの~」と興奮してしまいました。
聞けば昔からの大きなお宅で、敷地の中の樹木はなんと「保存樹木」。
その神社などにあるような高さ10m以上はあるだろう樹木と自然のままの敷地はそのままに、
たぶんそこに合う住居を望まれての設計なのだろう、
ということが建主様に聞いたわけではないけど理解できるような、そんな住宅でした。

その高名な建築家とは建築史家でもある藤森照信先生。
もちろんお名前は知ってました。そういえばお茶室『空飛ぶ泥船』…。
そう思ってネットで調べてみましたら先生の作品リストにしっかり載っていました
「2008年焼き杉ハウス・松軒(長野市)」と。
で、先生が長野県茅野市出身であることもようやく知った次第です。
まあそんなことはともかくとしても、こうして藤森先生の仕事を見れて良かったなあと。
手袋してマフラーぐるぐる巻きにして
F2の小さいスケッチブックに鉛筆スケッチして帰り、
その日の夜思い出しながら色をつけました。
手前はたぶん以前からある土蔵を、同じように焼き杉で改装したのだと思います。
実家の築百年以上の土蔵の取り壊しを傍観してしまった自分を
いつもふがいなく責めている身には、本当に愛おしい建物に見えました。


<マルマンスケッチブック F2>