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2023年09月

4月奈良へ②

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「そんな弾丸旅行でいったい奈良の何を見ようというのだ…。」伏し目がちに宿の主のため息が言っていました。

翌日、午後3時には奈良を出ないとならない。歴史小説『龍華記』に出てくる山田寺と大和三山を見たいから翌日は明日香村方面に行こうとしていたのを、私は法隆寺を未だ見ていないことに直前気づき、翌日は法隆寺に行く(ついでに薬師寺と唐招提寺も、だって近そうじゃ~ん)となり、奈良町からの最短ルートを宿の主に、ここを予約した友人が聞いた時の反応です。ひととおり流すように教えてくれましたが、「3つは無理ですよ。」とあきれ顔(というか若干むっとしてたような…)。仕方がない、時間いっぱい出来るところまで行こう!、ともかく法隆寺へと向かいました。
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「法隆寺駅」や「法隆寺前」交差点にすら既にわくわくしている私(^^)/。
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写真中央の白い敷石の参道があまりにきれいに整っていて、「ここを歩いていいの?。」と恐る恐る歩く。
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そんな私たちを発見して右手から颯爽と登場した緑色ベストのボランティアガイドさん。
時間がないからとガイドを断ろうとしたら「本当は短くても2時間は必要だけど1時間半で回ってあげましょう。」との申し出を有難く受けることにしました。ここではこのボランティアガイドさんを”まもちゃん”と呼ばせていただきます。まもちゃんの解説はわかりやすく簡潔で、本当にお願いして良かったと思いました。ちなみに長野から来る観光客はとても少ないそうです。
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南大門(国宝)
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南大門から西院伽藍方面を見る。
この土壁は法隆寺創建当時から(追加補修などしながら)残っているものだそうで、7世紀の人々が手でこの土壁を積み上げたことに、物凄い感動が胸に押し寄せて来ました、いやまじで!。
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唐門、上土門。
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西院伽藍、中門前。
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信州にも沢山の国宝級のお寺やお堂があり、今まで身近に見て来ていますが、この感動はやはり規模によるものではないかと友人と。そして国の中心としての都であったこと。その最古の歴史の重さ。ですかね、歴史に詳しくないしボキャブラリーも貧困でどう表現していいか全くわからない。
困ったなあ、とにかく何かが胸に押し寄せてくるのでありました。
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写真右奥あたりが若草伽藍、最初法隆寺が建てられたのはこの辺りだそうです。
私はたぶん、上の写真のような画像と、”柿食えば鐘が鳴るなり‥”で法隆寺をイメージしていました、そのくらいの小さくてしょぼい建物だと思っていたのです、なんということでしょう!。誰から刷り込まれたわけではなく。あなおそろしや、二月堂に続いての思い込み…。
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西院伽藍の中門。ここから西院伽藍の中の建物はすべて国宝。
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とにかく大きくて左右に分けて撮らないと~。
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感動で息苦しくなるほど、美しいと思いました。
この旅行の後で読んだ『日本建築集中講義』第1回法隆寺の冒頭で藤森先生は「久々に法隆寺を見たけど、やっぱり美しいね。」とおっしゃってて「うんうん、そうだよね~。」とひとり喜んでました。
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どこから見ても美しいプロポーション。
金堂のなかも見学し、ご本尊の釈迦三尊像や薬師如来座像・四天王像など観ることができ、その迫力に息を飲みました。
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大講堂。
挿絵1

『日本建築集中講座』(中央公庫)、建築家の藤森先生と画家の山口画伯のユーモアが楽しくて大好きな本ですが、この旅の間は一本の線も描けなかったのですが、今回この本の山口画伯の挿絵というか漫画というかがいいなと思って「よ~し」と真似してみました。一朝一夕であのような洒脱な線が描けるわけないことが「よ~く」わかりました。
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回廊、左側の連子窓から外側の緑と光が見え、風が通る。いいなあ。
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この床は三和土(たたき)に戻すべきと藤森先生。
それと法隆寺の柱を「エンタシスの柱」とパンフレット(法隆寺縁起)にも書かれていますが、藤森先生はこの本で「…エンタシスというのは間違っている。」と。なるほどなあ~(今頃になって色々面白いんであります)。
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まもちゃん一押しのアングルで。金堂・五重塔・回廊が入ってなかなかカッコよく撮れました。藤森先生も本の中でおっしゃっていますが、法隆寺はどこを切り取ってもバランス・プロポーションがいいなあと自分も思いました。

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この後大宝蔵院の中を見学したのですが、たしか撮影不可。ここで見た百済観音像が一番印象に残ったと、確かアンケートに書いたと思います。2mという大きさだけでなく”我が国の仏教美術を代表する仏像として世界的に有名‥”とのことですが(恥ずかしながら自分、初めて見ました)、飛鳥時代にこのような8頭身の優美な姿の仏像が作られたことが衝撃でしたし、ぞくっとする迫力というかオーラを感じました。余談ですが、ネットをぐぐると法隆寺で一番人気だそうです(あたくしの感性、超人並み~)笑。友人には「タイでは大きい仏像なんて山ほど見た。」と早速鼻をくじかれましたが「そーゆーことでなく~」。
駆け足で回っているので食堂は見れなかったのですが国宝だそうで、ちらっとでも見たかったな。
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ここに柿の木と休憩所があったそうで『柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺』の句碑がありました。
その時、偶然ですが鐘が鳴ったのを同行の友人は妙に喜んでいました、何故?。

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東大門。
たまたまコカ・コーラの車停まっていて、歴史あるご門と現代的な赤い車の取り合わせが「おもしろいかも!」と喜んで撮りましたが今になって見るとやっぱり無い方がいいです(雰囲気が下世話になる!)。」
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東院伽藍に向かう途中の四脚門。
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東院伽藍 夢殿。
同行の友人は高校時代の同級生ですが、確かその頃、山岸涼子作・画の『厩戸皇子』をテーマにした漫画に私は嵌まっていました。そこにこの夢殿が出てくるのですねー、ここで厩戸皇子が宇宙と同化するような場面が記憶に残っていて(かなり遠~い記憶)、どんなところなんだろうと思っていましたので目を皿のようにして眺めました。
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東院伽藍も回廊で囲われています。なのでか?なんだか落ち着く~。
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鬼瓦。
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せっかくだから中宮寺も見たほうがいいと、まもちゃん。
有名な本尊菩薩半跏像(国宝)思惟半跏像は観たいなと見学することに。

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↓こちらが本堂になります。
中は撮影不可。「此処から撮りなはれ。」
まもちゃん笑
国宝の天寿国曼荼羅繍帳が凄かった!。
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振り返って南大門。
結局2時間を超えて足が棒のよう!。まもちゃんはとても若く見えたのですが、80歳を超えていると聞いて「さすが!」と思いました。

で、朝もまんぞくな朝食ではなかったし、おなかがすいて、昨日からまともな「奈良に来た」という食事をしてなかったので、まもちゃんにお礼を言って別れた後、参道からほど近いお店に入り、名物の「柿の葉寿司と素麵」が入ったランチを食べました。お味は満足でしたが因みにこれで1800円。
柿の葉寿司
そして薬師寺に向かいました。JRと近鉄を乗り換えたり駅間を歩いたりでしたが時間はそれほどではなく、順調につきました。奈良の観光地でない普通の街中を歩けたのも良かった。
近鉄 西ノ京駅から歩いて少しの北拝観受付より入りました。ここでデジカメの充電切れ。カメラの充電器は持って行かなかったので予測はしていました。この後はスマホで撮ったものです。
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国宝 東塔の工事がいよいよ終わる、というところでした。
薬師寺・唐招提寺は今回ついでのおまけのように立ち寄りました。
高校時代の修学旅行で確かに訪れてはいるので、すべて忘れていながら、なんの予備知識も持たず…。
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つまり後悔先立たず…であります。
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金堂

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国宝 東院堂
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玄奘三蔵院伽藍 玄奘塔
駆け足も駆け足で、徒歩5分とある唐招提寺へ

唐招提寺
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もうざーと流し見て後は帰って歴史を勉強し直そうと(大汗)。
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これは唐招提寺の道を挟んだ向かい側にあるバス停からみた風景なのですが、
なぜこんなものをというと、行き着かねばならないJR奈良駅まで直通のバス停がこの近くにあったらしいのですが、それをスマホで調べようともせず、電車に乗るべく西ノ京駅に戻ることにして、徒歩で来た道をもう一度歩く気力が私たちに無く、「バス乗ろ、バス」。奈良のバス事情は結構良くてSUICA使えるしどんどん来るし。それがこの時はずいぶん待ちました。そして近鉄乗り継いで(時の駅前となった大和西大寺駅)、今になってみればずいぶん大回りして、時間もお金もかけたわけで。
かなり疲れ切っていて思考停止っていうか血流が脳みそまでいかないような?笑笑( ´∀` )。

帰りは京都に出て新幹線使って名古屋まで。お土産には京都駅で八つ橋を大量に買ったという、なんだかな~の旅ですが、こうして振り返ると盛たくさんの楽しかった思い出です。

4月奈良へ①

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もう何か月も前のことですが、記録に残しておきたいと思いまして。
個人的に「あれはいつのことだったかな?」という時、このブログは結構役にたったりします。

以前知人から勧められて『龍華記』(澤田瞳子著)を読み、なぜか奈良、それも興福寺のあたりに猛烈に行きたくなりました。そして友人らに会ったり、ことある毎に「奈良に行きたい(旅行したい)」と喋っていたのですが、3月末に「奈良に所用があるが行くかどうか迷っていて、あなたが行くのならゲストハウス予約して一泊で行こうと思うがどうか。」と友人に打診され、思わず「行くわ!よろしく!。」となり、仕事が立て込んでましたが4月の13日14日、一泊二日なら何とかなる、と段取りつけて、旅好きでしょっちゅうふらふら旅行している友人に振り回されながらも、ともかくふたりで奈良のゲストハウスまでは一緒に行き、共に帰ってくる、という旅程となりました。
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というのは、長野から特急しなので名古屋までは基本として、
名古屋から奈良までを新幹線使わず在来線乗り継いで行きたいと彼女が提案。
その時は興福寺だけ見れれば満足…と思っていたのであっさり「いいね!」。
で、名古屋から亀山、乗り換えて亀山から加茂(一両編成 上の写真)、加茂から大阪環状線天王寺行きでJR奈良駅まで行きました。

その日泊まる奈良町のゲストハウスにまずは荷物を預け、そこからは友人の用事もあり別行動の予定が思わぬアクシデント有り、結局翌日も含めふたりで行動しなければならなくなりました。
がまあ、彼女の今回の用件はこの後知り合いに会うことで済んでしまうので、後は私の行きたいところに同行で全く構いませんということで、ともかく彼女の用事を済ませて興福寺に向かったのは既に4時近くになっていました。(今になって思えばその間のドタバタがおもしろかったのですが、趣旨から外れるので割愛します、例えば「音楽とコーヒーの店ジョニー」の件とか笑)
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興福寺に着きました。写真撮るとこんなものか~と思いますが、もうこの場所から感激してしまって、鼻息荒く「凄い!凄い!」と言いつつスキップする私。
やはりその場に立たないとそのスケール感、歴史や文化の醸し出す空気感というか、わからないですよね。その場でしか感じられないものが五感すべてに迫ってくる気がしました。
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中金堂前を通って
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う、う、美しい~~ 国宝 五重塔
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修学旅行生。たぶん私らも高校生の時に来たのかも知れない、いやたぶん来てる。
国宝 東金堂
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でも、何も思い出せないのである。ただただ感動している無邪気なおばちゃん達なのであった。
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興福寺国宝館で『仏頭』を見ることもうっすら考えていたが、どうかっ飛ばしても1時間や2時間で見終わらないだろうと諦めました、この後東大寺から般若寺に行くという本日の目的のために。
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見つめあってるし-。
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東大寺南大門。大きいんである!。体躯の大きい外国人カップルのせいではないと思うが、こうして写真で眺めると日ごろ見慣れている善光寺仁王門と何ら変わりなく思える。
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この大きさに圧倒されたことを記録しておきたいと撮ったのであります。
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大仏殿拝観券を買って
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いよいよ大仏殿
(「シャー!」のポーズでスキップする人はもちろん私ではありません笑)
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おおきいんですわ~、それを撮りたくて何枚も写真撮るんですけどね。
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これも「格天井」でいいんでしょうか?
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大仏殿の中には菊などのお花がそこかしこに沢山置かれていて、花の良い香りにも癒されました。
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この模型が素晴らしくて好きでした。
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「東大寺」とひとことでくくって、「興福寺」から「東大寺」行ってその先に『龍華記』に出てくる「般若坂」と同じ「般若寺」があることをゼンリン住宅地図で知って、「その般若寺まで歩いてみたい」というのが今回奈良に行きたいと思った動機なんでありますが、この階段上った先の二月堂がこれまた素晴らしくって、
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大学の卒業制作(水資源に関する広報パネル)テーマに沿って「東大寺のお水取り」は、今のようにネットですぐ情報が手に入る時代ではありませんから、大学の図書館で文献を調べましたが、狭い茶室のようなところで茶坊主のような人がかがみこんでいる白黒写真で、お茶を点てるための「お水取り」と思い込んでいました。そしてごく小さなお堂のように思っていたので、このロケーションと建物の、思っていたイメージというか認識との違いに、もうもうびっくり仰天でした。呆然と思ってもいなかった建物の迫力とプロポーションの美しさに見とれていましたら、連れのいつもテンション低めの友人も同じようにコーフンしてたので、良かったです。
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二月堂からの眺め。ここの人に般若寺までの徒歩時間を尋ねたら「…?、もう閉まっていると思いますし、何もないですよ?。」と言われ、それもわかるなあと。その土地の雰囲気を感じると本の中の想像の世界から現実が見える気がしますし。で、ここからの夕日を撮って帰ろうかと話していると、またその人が「今日は夕日の撮影は無理と思いますよ!、靄がかかりすぎてる。」
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ちょっと納得できない感じではあったのですが、
日没は近そうだし、途中で浮見堂でも見ながら宿に帰ろうということになりました。
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左手の土壁がすごいなあと二人で感嘆してたのですが、翌日の法隆寺ではまさに本物の「目から鱗」土壁と会いました。この左手は個人邸なのでしょうか?。
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大仏殿の裏手を通り、
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あ~正倉院も見たかった…と嘆きつつ、
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日没直前の浮見堂をカメラに収め
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奈良町のゲストハウスに急いだのであります。
スマホにすべて頼るつもりでいた充電器忘れた友人は、駅のインフォメーションでたまたま貰っておいたイラスト地図を頼りに歩く私の後を歩くのが不満のようでふてくされてましたが笑、私は地図を見て歩くほうが断然面白いし好きなのであります。
翌日「4月奈良へ②」に続きます、と思います。

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